米国経済に見える立ぢ直りの兆候

米国経済に見える立ぢ直りの兆候

2011年の外国為替市場は欧州のゴタゴタに振り回された。世界のあちこちでリスク敬遠の閉そく感が漂い、消去法で円か浮かぶ構図はずるずると続いた。半面で国際投資家の悩みは深い。守ってばかりでは収益アップは望みがたいのだ。「12年こそば攻めたい」との意欲が広まるならカネの流れは変わる。

 

ポイントは悪材料に「耐性」がっくかだ。ユーロ圈の混乱ぶりに目が慣れるにつれイベントごとの衝撃は和らぎ、ユ一口売りに疲れはてるか、飽きるパターンになる。

 

外為トレーダーの中でもごく短期のスタンスで商いに臨むグループは通常、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)をまんべんなく吟味していくプロセスを省きたがる。チャート分析やコンピュータープログラムを組んでの取引に傾いたり、「テーマ」と称し焦点を絞って売り買いしたりする。とりわけ後者は思い込みが先走りがち。注文はしばしば偏り反動のエネルギーをためてしまう。この状態が11年はユーロ絡みで起きたと考えられる。

 

お金もしぼみっぱなしとはゆくまい。「もう運用額を抑える必要はないところまできた」とも読める。猫も杓子も円を求める展開は仮に生じてもすぐに終わる公算がある。もちろんユーロ圏債務問題の解決までにはかなり右往左往しそう。ドイツ政権の対応次第ではユーロの土台が揺らぐ。

 

一方で[政治サイドは危機に歯止めをかけるためにまとまる」、「欧州中央銀行(ECB)はドイツのお墨付きを得て緩和策を拡張。ユーロ圏の景気のみならず日米や新興国も恩恵をこうむる」との声もあがる。ユーロはどうにか踏みとどまるとのシナリオを描いているわけだ。

 

また12年初までのユーロの減価がドイツやフランス系企業の輸出競争力を高める。 ECBの景気刺激策も程度はさておき効くはずだ。スペインやイタリアの帰すうによるとはいえ11年に比べると「共倒れ」の芽はしおれた。 さらにユーロ加盟国の「大口顧客」米国の経済に立ち直りの兆候が見えており、朗報ととらえちれる。雇用情勢の改善が消費マインドにプラスの効果をもたらした。貿易では欧州関連の穴をひとまず中国などが埋める格好になっている。

 

もろもろの数式からは「12年の後半には米国発などでリスク許容のムードが蘇り、円には逆風が吹く」との答えが導ける。米ドルの需給バランスは微妙だが対円では底堅いかもしれない。ただし楽観は禁物だ。米政府は赤字体質のアキレスけんを抱えたままで住宅セクターには信用収縮のダメージが残る。

 

しかも「リーマンショック」などを乗り越えてきた経営トップには猪疑の心が育った。人件費などのコスト管理には総じて厳しい。働く側か家計全般にゆとりを覚えられなければ財布のひもは結局締まる。

 

いわゆる「労働力人口」の復調も遅れている。米国では日本国内よりもヒトの行き来は激しいと映るが、業種によってはひとたび職を失うとなかなか再チャレンジのチャンスをもらえず、専門とは異なる分野で細々とアルバイトやパートタイム・ワークをこなすケースが多い。米景気対策のハンドル操作は依然、ぬかるみを歩くがごとしでとても難しい。欧州のあおりを食うとの懸念もくすぶる。日本マネーのようにじっくり戦略をたてていくタイプを揺さぶるにはまだまだ手掛かり不足だろう。

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